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殺命

2010/11/27 15:08

ごきげんよう、皆さま。
わたくし天乃は、今現在ものすごく眠いです(苦笑)。


さてさて、本日は
「朽ちたる華弁」の第三章『殺命』です!


基本「朽ちたる華弁」には、雰囲気ゴシックの作品を持ってきています。。
今回の『殺命』は、やっぱり少々シリアスといいますか、ゴシックといいますか、暗めといいますか…。


なので、苦手な方は、どうぞ御注意をお願いいたします。

ではでは、ごゆっくりお楽しみ下さい…。
管理人・天乃音羽



 ~+~+~+~+~+~+~+~



○第三章 殺命‐アヤメ‐


 王都リシェは、この世界で一番の大きさの街だった。その住人は上流階級の貴族ばかり。王が住まう城を中心とした、王の臣下である貴族のための街として、発展した巨大な街。
 街の中央に建つのは、黄金に輝くリシェの王宮。
 巨大な鉄の門の前には、数え切れないほどの兵士が、無言の圧力を孕んでいた。ある種の緊迫感を漂わせる彼らは、ただ無言で侵入者を阻んでいた。その王宮を訪れた者が、初めに見る異様な光景。金を有り余るほど持つリシェならではの、耀かしく美しい王宮の光景は、そんな兵士達によって明らかに重々しくなっていた。
 漆黒の美しい毛並みの馬が、其の荒々しい門の前に、止まった。
 堂々とした馬に、堂々とした男性と思われる人影。彼らは、彼らを見たものに“闇”を感じさせるような存在だった。衣服から、雰囲気、立ち姿まで、全てを“闇”と形容させるためだけに存在するかのような、彼ら。
「開けろ」
 そして、“闇色”の男性は、静かにその口を開いた。
 門を守る無言の兵士は、決して動じずに、ただ一言、答えた。
「承知いたしかねます」
 “闇色”の男性は、じっと兵士を見詰めた。兵士は、男性を灰色の生気のない瞳で見返した。
「命令だ」
 黒馬を携えた男性は、ただ一言告げた。
「申し訳ありません。承知いたしかねます」
 だが、まるで操り人形(マリオネット)の兵士は、抑揚も薄く、そう答えるばかり。
 黒い馬に、堂々と跨る、黒い騎士服を纏った“闇色”の男性が、低く聞き取りにくい声で言う。すると、門の前に立ち並ぶ兵士の一人が、生気の無い其の瞳で男性を見上げながら、そっと答える。
 そんなつまらないやり取りをする彼ら。
 そして、“闇色”の男性は、言った。
「……我が主君に話があるのだ。通せ」
「…………」
「我が国に反するとみなし、私はお前を斬る事が出来る。死にたくなければ通せ」
 “闇色”の男性は、その眸をすっと細めると、左腰に挿さった、重々しい黒い剣を抜いた。
 兵士の、その生気のない瞳が、ほんの少し揺らいだ。
「……畏まりました」
 重々しい音と共に、鉄の巨大な門が開かれる。“闇色”を纏った男性は、堂々と門を潜った。
 門の中に広がるは、美しき庭園。
 辺りに敷き詰められた緑と、空の澄み切った蒼、所々に散りばめられた鮮やかな花の色、石が光に反射して輝く淡い金色。
 其の中に続く舗装された道を、黒馬が行く。

 ~*~*~*~*~

 巨大な扉。一際目立つ、豪華な装飾を施された扉。其の前に、先程の“闇色”を纏った男性が立っていた。
 剣帯には黒い剣。男性の眸は、鋭く細められ、そして真っ直ぐだった。
 門と同様の重々しい音を立てて、男性の目の前の扉が開いた。
 開くと同時に、“闇色”の男性は、フッと跪いた。
「我が偉大なる主君、リシェ王。私に其の御前を」
『入りたまえ』
 部屋の中から朗々と響いたのは、低いテノールの声。
「失礼致します」
 明るく日光が射し込む、巨大な謁見の間。
 “闇色”を纏う男性には、その部屋はとてつもなく眩しかった。
「御報告です。我が国の敵たるサヴェのリスエルを討ちました」
「そうか」
 単調な“闇色”の男性の報告に、単調な国王の答え。
「……リョグアの国王陛下から伝言を預かっております」
「構わぬ」
 無慈悲な国王の前に跪く“闇色”の男性に、その力は無いに等しかった。


「【亡国たるサヴェの聖騎士を討ち落としたる黒の騎士を、我がリョグアの元へ欲す。見返り在らば、我がリョグアの土地足ろうぞ。聡明な答を我は俟とう】、との事です」


 ただただ静かな、時間だけが過ぎていった。
 無言は時に、凶器となりうるというのに。



「…………そうか。……ならば、絶て」



「…………」





 “闇色”をその身に纏った男性は、その端整な顔を微かに歪めて、眼を閉じた。
 静かな、うっすらとした沈黙が、間を支配する。
 そして、重々しく、彼の口が開く。




「我が主君の、御心のままに」




 王都の繁栄は、とどまる事を知らない。



                              ~Fin~  



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