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「雪色冬音(提出作品)」これからのスノウアゲイン

2010/12/05 15:26

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冬企画「雪色冬音」提出作品
この作品は企画に参加してくださった方が提出された作品です。
著作権は作者様にございます。無断転載・複製などの行為はご遠慮下さい。
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 『これからのスノウアゲイン』 去姫さま著





「アナタに逢おうと願う時」

 願わずとも。願わずともそれはかなう。今日も地球が回っているくらいのこと。
 だから今日もこの道を行く。暗い夜道を一人で歩くのは誰にも奪わせないため。僕の温もりのすべてを寒空に預けるため。
 涙はもう十分流したから。びしょ濡れになった枕も月明かりの下、木枯らしにさらして溶かした。
 そうやってまだ僕に残る君の温もりのすべてを冬に託した。きっとみんなだってそう。僕ほどじゃなくても、大切な人と過ごした時間、手をつないだ温もり、ともに流した涙、一人泣いた涙をこの時のために積み重ねるんだ。

「あ・・・・・・」
 
ほら、だからこの瞬間。それぞれの温もりに還るんだ。真白な雪は僕らの悲しみの結晶。どこにでもある愛。当たり前のようにありふれた愛を溶かして、大切な日常に降り注ぐ。

「君だって見てるんでしょ?」

しんしん。まさにその擬音が当てはまる雪。暗がりにかすむそれらを街灯が切り取る。そこからただ茫然と見上げ続けていると、自分が空に吸い込まれていくような感覚に襲われる。

「まだそっちにはいけないよ。あの子に会いに行かなくちゃ」

 花が大好きだった君。君の庭にはいつも四季折々の花が咲いていた。だからこの季節は苦手だったね。毎日のように繰り返し「早くアネモネの季節にならないかな」っていってた。花言葉に詳しい君はそっと教えてくれたりした。

「薄れ行く希望」
 
 苦笑いした僕に慌てて付け足した。

「あなたを愛する」

 そんなこともあって、負けず嫌いな僕はこっそり花言葉を勉強した。リナリア、アングレカム、シオン・・・・・・「白い追憶」ってドクダミの花言葉なんだよ。あの、お茶。
まあそんなことも君なら知ってるんだろうね。でもたった一つ君でも知らない花言葉を、僕は知ってるんだよ。

 「雪の華」の花言葉はね、

「足跡」

「相対の思い出」

 知らなかったでしょ? 当たり前だよ。ごめんね、これ僕が考えたんだ。だから、一緒にもっと付け足そうよ。どんなに作っても、僕たちが全部覚えられればいいんだから。

 不意に雲が途切れて月明かりが滑り込んだ。それに誘われるようにして空を見上げると、オリオン座が恥ずかしそうに、顔をのぞかせていた。

「ああ・・・・・・もうすぐ来るんだね」

 再び襲う、吸い込まれるような感覚。今度は迷うことなくその先に手を伸ばす。
 純白の雪。どれもが同じに見えるようで、でも僕にだけはわかる温もりが確かにそこに居た。


「ほら・・・・・・君が還ってきた」




「何してるの? 今日は私に教えたいことがあるんでしょ!」


 はは・・・・・・


「君には敵わないな」

 


 Fin.
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