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「雪色冬音(提出作品)」ある冬の日の二人の会話

2010/12/05 15:29

――――――
冬企画「雪色冬音」提出作品
この作品は企画に参加してくださった方が提出された作品です。
著作権は作者様にございます。無断転載・複製などの行為はご遠慮下さい。
――――――

 『ある冬の日の二人の会話』 遥さま著




「おぉ~~、雪降ってるっすねぇ」
 窓の外から見える冬景色に、仕事終わりで疲れてるだろうにも関わらずテンション高くて少しウザく感じてしまう。
「お疲れ、ほら飲め」
 それでも忙しい中で働いた労を労ってのコーヒーを出すと嬉々と受け取り、カップに息を吹きかけて冷ましながらこくこくと飲んでいく…………ああ、こういう仕草がいいって言う人もいるけど、今ならその気持ちがわかるかもな。
「それにしてもすごい人来てたねー。去年は客だったからあまり思わなかったけど働く立場になると大変ッスよ」
 働いてみて初めてわかる苦労を得ているようで何よりだ。
 年末で普段はそこそこな店内も家族連れやカップルで賑わい、閉店になるまでその勢いが収まることはなかった…………何回経験しても慣れることがないね。まあ、客がたくさん来るのはありがたいんだけどな。
「ふぅ…………店長と恋仲になれない中できゃっきゃうふふしてるカップル見るたびにマミられろって呪詛を撒き散らせていたあの頃も今となっては良い思い出だなぁ」
「その発言のどこに良い思い出に繋がる要素があるんだよ」
 つーか、変な造語作るなよ。
「わかってないなぁ??過去の積み重ねがあって今の私があるんだよ。であれば、どんな過去であってもそれを受け入れて良きものとしなきゃ」
 残念な子供を見るかのような視線にいまいち納得がいかねぇ。
「ま、それはそれと置いといて??さぁさぁ、店長たっぷりじっくりねっとりしっぽりラブろうよ♪」
 変な造語を満面の笑みで言うなよ。
「お前何か企んでね?」
「ししし失敬なっ!! 私のこの天使のような悪魔と見せかけた女神の笑顔のどこに企みが含まれるの!?」
 あからさまな動揺見せながら反論しても説得力ねえぞ。
「悪魔の笑顔の時点で含まれてんじゃねえか」
「笑顔の裏のそのまた裏に秘めた純粋な愛情がわからないの!?」
「ややこしいことしてんじゃねえよ!」
 わかってほしいなら回りくどいことしないでストレートにやれよ!
「だって~~今までが店長好き好き~~ってストレートに言うキャラだったからここらで変更しようかなーって」
 ごめん何言ってんのか全くわからんけど、
「自分で言うほどキャラ変わってないぞ。というか、今までと同じじゃね?」
「なっ――――!?」
 某少女マンガのようなガーンとした表情をするやつ初めて見たぞ。
「んで、お前は何がしたいんだよ」
「んっとね~~、一緒に夜道歩かない?」
「は?」


「はぁぁー……やっぱり寒いねえ~~」
 黒々とした空からアクセントを添えているかのように雪の降る夜道を不満というより再確認しているかのように言い、冷えた両手に息を吹きかける。そんな後ろ姿を眺めながら俺も歩いているわけだが、
「俺……何でここにいるんだ?」
「何で……って店長何言ってるの? 私のお願い聞いてくれたからこうしてデートをしてるんじゃないの?」
 俺の疑問に訳がわからないよといった表情で説明してくれたが…………こいつの『お願い』を聞いた直後からこの瞬間までの記憶がないんだけど。
「てんちょー何考えてるのかわからないけど、場面の切り替えなんてよくあることだから気にしちゃダメだよ」
 場面の切り替えってなんだよ。あともう一つ疑問があるんだが。
「それにしても店長を外で見るのって初めてのような気がするんだけど何でだろ?」
「知らねえよ」
 俺の心を読んだかのような発言をするが俺自身わかるはずがないのだから答えようがないぞ。
「ふーん、まいっか」
 その一言で疑問に思ってることをばっさり切り捨てると、ふんふふ?んと鼻歌を歌いながら、ジャンプしたりくるくると回ってみたり子供のようにはしゃぎながら前を進む。控えめに降る雪の効果もあり、より雰囲気を楽しんでるように見える。
「そんなしてるとコケるぞ。ちゃんと歩け」
「大丈夫だよ?、こんなんで転ぶのはマヌけぇっっ!?」
「おま――――」
 忠告に素直に従わずに見事に足を滑らしたマヌケが顔面強打――――する前に手を回して体を支えることに成功。
「ったく、何やってんだよ」
「ふぃ~~ソーリーソーリー店長ナイス!」
「はぁー……」
「ふぅー……」
「……………………」
「……………………」
「………………………………」
「………………………………」
 互いに一息吐き、そして気づいた――――俺がこいつのどこを触っているかに…………あ、やわらか。

「あ~~~~てんちょー…………ちょっと恥ずかしいんですけど…………」
「っ! ごめ――――」
 その一言に我に返り、慌てて手を離すが、
「ちょっ! 何で手を離すの!?」
「はぁっ!?」
 勝手にキレられて怒られたんですけど何でだよ!?
「どうしてもっともみもみしないの店長!」
「バカじゃねぇ!?」
「バカはどっちッスか! イベントが発生したんだからそこは回避するんじゃなくて、このままヤるのが普通でしょうが!!」
「んな普通があるか!!」
「店長私のことが好きなんでしょ! だったらもみもみしてよ」
「意味わかんねえよ!!」
 愛情確認で胸揉むってどんな変態だよ。
「もー店長にはがっかりだよ!」
「俺はお前のお頭にがっかりだよ!」
 互いに互いを貶して溜飲が下がったところで顔が合い、
「「ぷっ」」
 同時に噴き出した。
「あははっははは――――!! 相変わらずお堅いね~~店長は」
「お前もしおらしくなったかと思ったけどやっぱ変わらんね」
「そりゃあ私だからねぇ~~」
「納得だ」
「そこ納得すんのかい」
「お前だからな」
「だったら仕方がないか」
 会話を弾ませながら道を歩く俺たち。
「店長クリスマスはちゃんと2人きりで過ごせるようにしてよ」
「了解」
「プレゼントで婚約指輪くれたら嬉しいんだけどなぁ~~」
「んなことすると思うか」
「全然思ってないよ」
「お前な…………」
「さっきの仕返しだよーだ」
 あかんべーする頭を軽く小突く。
「やっぱ変わらんな俺たち」
「無理して変わる必要ないしね~~」
「そうだな」
「でも――――」
 そこで言葉を区切ったので不思議に思った俺が振り返ると丸い瞳を輝かせ、
「変わっていくところを2人で楽しんでいけたら最高だよね」
 あぁ、本当にこいつは無邪気で何でも楽しんでいけるんだな。
「そうだな」
「んふふ~~そりゃ」
 ぎゅっと腕にしがみつかる。よくあるシチュエーションだと聞くけど、いきなりされると体勢を崩しかけて軽くイラッとするもんだな。まぁ、それ以上にむにむにとしたものが当たってるんだけど、気づいてるんだかないんだか……ツッコむのはやめるか。
「てんちょー恥ずかしい?」
「当たり前だろ」
 答えてやるとよりいっそうしがみついてきやがった。香水とかつけていないはずなのに甘い香りに意識が削られていく…………ってダメだろ!
「おま、離れろ!!」
「ちょっ! そこまで嫌!?」
「じゃなくて、今はとにかく離れてくれ――――!!」

 近所迷惑になることはわかってるけど、それより必要な湧き上がる欲望を押さえ込むための絶叫が黒と白のセカイに響き渡る――――。




 Fin.

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